パラベンフリーとは?肌に優しいの?

パラベンフリーのシャンプー豆知識

最近、化粧品やシャンプーなどで「パラベンフリー」という言葉をよく目にしますが、パラベンとは一体何なのでしょうか?
「入っていない方がいいのだから悪い成分」だと思っていませんか?
そんな疑問に答えるため、パラベンについて詳しくご説明します。

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パラベンとは?

パラベンとは正式名称を「パラオキシ安息香酸エステル」といい、化粧品や食品、医薬品などの防腐剤として使われています
パラベンにはいくつか種類があり、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンが主に使用されています

パラベンは毒性がほとんどなく、低い含有量でも効果が高いため、様々な製品に使用されています。
パラベンを添加することで、シャンプーボトル内で雑菌が繁殖し、腐敗・変色・異臭などの発生を防ぎます。

また、日本での化粧品基準(厚生労働省策定)として、パラベンの使用は上限1%までと決められており、ほとんどの化粧品には0.1~0.5%程度しか含まれていません。

パラベンは化学合成で作られていますが、身近な野菜やフルーツにも広く含まれています。
ニンジン、トマト、オリーブオイルなどの中にもパラベンやパラヒドロキシ安息香酸が含まれているのです。
パラベンは体内に取り込まれると分解され、パラヒドロキシ安息香酸に変化して体外に排出されることが知られています。

参考:化粧品基準,平成12年9月29日,厚生省告示第331号

パラベンフリーにする理由

毒性がほとんどなく、雑菌の繁殖を防いでくれるパラベンですが、なぜパラベンフリーにする必用があるのでしょうか?

それは、ごく稀にパラベンでアレルギーを起こす人がいるためです。

割合として約0.3%、つまり1000人に2-3人といわれています。
そのような敏感肌の方に向けた成分表示として「パラベンフリー」があります。

ですが、パラベンフリーにしても雑菌の繁殖は抑えなければならないため、他の防腐剤を使用している場合がほとんどです。

【シャンプーの主な汚染経路】
「シャンプーは密閉ボトルに入っているのになぜ雑菌が入るの?」と疑問に思うかもしれません。
一見安全に見えるシャンプーでも、以下の感染経路があります。
 ・一次汚染:原料、工場の製造過程から混入
 ・二次汚染:使用中に容器へ水が入る、詰替え時に混入
シャンプー等の詰替え商品の説明で、「よく洗って乾燥させてから」と記載されているのは、この二次汚染を防止するためです。

パラベンに関する誤解

パラベンフリーは防腐剤を使っていない?

パラベンフリーと書かれていると「防腐剤が含まれていないのかな?」と思ってしまいますが、パラベンフリー=防腐剤不使用ではありません

防腐剤を入れないと高温多湿な環境に置かれることが多いシャンプーやトリートメントなどはすぐに雑菌が繁殖して腐ってしまいます。
雑菌だらけのシャンプーで髪を洗うと、肌への刺激になりトラブルの原因にもなりますし、何より気持ちが悪いですよね。
そのため、パラベンの代わりに他の防腐剤を使用しています。

中には防腐剤不使用のシャンプーなどもありますが、防腐剤というカテゴリーには入らないけれど防腐効果のある植物エキスなどを使用しているものもあります。
植物エキスは低刺激で肌に良さそうなイメージですが、アレルギー体質の方にとっては刺激になる場合もありますので一概にパラベンなどの防腐剤よりも優しいとは言えません。

【シャンプーの天敵】
グラム陰性桿菌(かんきん):シャンプーから検出頻度の高い菌で、製造過程・使用中のどちらからも汚染します。シャンプーから検出されるグラム陰性桿菌は、緑膿菌や肺炎桿菌などで、免疫が下がった状態だと感染し重症化するリスクがあります。

参考:田中賢介,”シャンプー・リンス・ボディソープにおける微生物対策”,日本化粧品技術者会誌,1997 年 31 巻 3 号 p. 245-253

パラベンは肌荒れをしやすい?

パラベンは1924年に初めて医薬品の防腐剤として使用を開始され、約100年の歴史がある防腐剤です。

パラベンを使うことで、皮膚炎や湿疹などのアレルギー反応を起こす可能もありますが、その割合は1000人に2-3人といわれています。
また、パラベンの使用量は国によって制限が設けられ、実際の使用量は国の基準よりも低い場合がほとんどです。

つまり、パラベンにアレルギーのある方でなければ、特に気にするほど悪いものではありません。

パラベン以外の防腐剤

防腐剤の種類

パラベン以外ではどんな防腐剤がシャンプーに配合されているのでしょうか?
主な防腐剤は以下のとおりです。

安息香酸Na

安息香酸ナトリウムは、食品の腐敗を防ぎ、カビや細菌が増殖するのを防ぐための保存料として、多くの食品に使われている添加物です。
特に、栄養分の高い健康ドリンク系の飲料水で使用されることが多く、飲み物の「ファンタ」に入っている保存料も、実は安息香酸ナトリウムです。
安息香酸ナトリウムは、パラベンと似た性質を持っており、「グラム陽性桿菌」や「カビ」に対して抗菌性を持っています。

フェノキシエタノール

フェノキシエタノールはシャンプーの大敵「グラム陰性桿菌」や「カビ」などの広範囲の微生物に対して強い抗菌力を持つ防腐剤です。
万能そうに思えるフェノキシエタノールでも、「グラム陽性菌」などの一部の微生物に対して弱いことから、パラベンや安息香酸Naなどの他の防腐剤と併せて配合されます。

サリチル酸

サリチル酸は、微生物のなかでも「細菌」や「真菌」という種類のものに特に有効で、「メチルパラベン」や「安息香酸Na」よりも強い抗菌力を持つ強烈な防腐剤です。

ソルビン酸K

ソルビン酸カリウムは「カビ」や「酵母」に対して有効な防腐剤で、安息香酸Naやフェノキシエタノールを併せて配合していることが多いです。
ソルビン酸カリウムは、眼や皮膚に対し刺激があることから、最近では使われる商品が少なくなっています。

メチルイソチアゾリノン

メチルイソチアゾリノンは「グラム陰性桿菌」、「グラム陽性桿菌」、「カビ」等、広範囲の微生物に有効な防腐剤です。
大変防腐効果としては優秀なメチルイソチアゾリノンですが、皮膚炎の増加など安全性の問題が指摘されています。

防腐剤以外の防腐方法

植物エキス

ヒノキシオール、ティーツリーなど殺菌効果が高い植物エキスを防腐剤代わりの原材料としたオーガニックコスメもあります。
植物エキスも種類によっては高い抗菌性があるので、パラベンなどを使ったシャンプーと同様に長期間使用できる商品もあります。

パラベン以外の防腐剤は安全?

パラベンフリーってわざわざ書くほどだから、他の防腐剤なら安心♪

というワケでもありません。
パラベンは他の防腐剤に比較して低い含有量で優れた効果が認められているので、他の防腐剤を使用するとパラベンを使用するよりも量が多くなってしまう場合があります。
当然、別の防腐剤が大量に入れば、その刺激が自分には合わない可能性もあります

それなら防腐剤の入っていないオーガニックコスメを選べばいいのかというと、一概にそうともいえません。
オーガニックコスメの場合、皮膚からアレルゲンを摂取することでアレルギーが発症する「経皮感作」の問題があります。
経皮感作によるアレルギー発症で有名な事件が、「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギーです。

茶のしずく石鹸事件とは
「茶のしずく石鹸」には小麦の加工物「加水分解コムギ」というタンパク質が含まれており、それによってアレルギー反応を起こし、小麦を含む食品を摂取すると重篤なアレルギー症状を起こすようになった、という事件です。
「茶のしずく石鹸」を使用してアレルギーを症状を起こすようになってしまった方たちは、以前のように小麦製品を食べられなくなってしまいました。
この事件をきっかけに、「食品アレルギーは食べて発症するわけでなく、皮膚からアレルゲンが侵入してアレルギーを発症する」という新しい概念が医学会で誕生したそうです。
詳しく知りたい方は、こちらの記事がオススメです。

つまり、パラベンが悪いというわけでも、防腐剤自体が悪いというわけでもありません。
結局は、パラベンでも他の防腐剤を使った商品でも一度使ってみて、自分にアレルギー反応などがなければそこまで気にする必要はないということですね。

まとめ

この記事では、「パラベンフリーとは何か」、「パラベン以外の防腐剤はどうなのか」について紹介しました。

  • シャンプーは高温多湿の環境で、雑菌も繁殖しやすいことから、防腐剤を使って安全に使えるような工夫がなされています。
  • パラベンは昔から使われてきた防腐剤で、日本ではその使用量も制限され、また実際にはそれ以下の使用量で使われています。
  • 稀に、パラベンでアレルギー反応を起こす人もいるので、そういった方はパラベン以外の防腐剤を使用したパラベンフリーの製品を選べばよいと思います。
  • 防腐剤を使わない製品(防腐剤フリー)の中には、植物性の成分がきっかけで「経皮感化」というアレルギー反応を起こす可能性もあるので、必ずしも安全とは言い切れません。
  • 防腐剤の安全性については日々研究されており、自分に合わないということがなければそこまで気にするほどでもありません。

「パラベンフリー」という言葉に惑わされず、自分の肌に合った商品を選ぶことが大切です。

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